まず、なぜ褥瘡ができてしまうのか。これは体に圧力が持続的に加わってしまうために引き起こされるものです。硬い場所に長時間じぃ~っと寝ていたり座っていたりすると体の床に触れている部分がとても痛くなりますよね?それが『体に圧かかかっている』状態です。ここで私たちは座りなおしたり寝返りをうったりなどをして圧を分散させるのですが、それが出来ない人たちは褥瘡の発生・悪化に繋がってしまうのです。それを回避するためにはこまめに体位を変えてあげたりなどのケアを行っていくのですが、その他にマットを変えるというのも有効なのです。そこで、様々なマットに実際に寝てみて、体にかかる圧がどのように違うかという実演をして頂きました。

下の写真は、マットに寝そべった状態で体の何処にどの位の圧がかかっているかを表したもので、色が黄緑色に近い部分が圧がかかっていない部分。赤や青の部分がより圧がかかっていて褥瘡になる危険が高くなります。また、色の付いている部分がより人型に近いほど圧が分散され理想的なマットといえます。
《ウレタンマット薄型》
【通常】

【こう縮(手足が縮こまっている)】
これは日常動作に問題のない方々が寝ている通常の硬いマットです。画像を見てお分かりいただけると思いますが、圧のかかり方が一点集中していて全く人型になっておらず、色が赤に近いところも見受けられます。これはご自分で動くことの出来ない患者さまにとってはとても危険な状態です!この体勢のままお尻・背中辺りに褥瘡ができてしまうでしょう
《ウレタンマット厚型》
【通常】

【こう縮】
こちらは薄型よりもちょっと厚く、より圧力が分散されるマットです。薄型のマットよりも色が人型に近づいているのが分かりますね。ただし、こう縮のほうを見ていただくと分かるようにやはりお尻辺りの圧が若干危険なレベルになってしまっていますね・・・・。(因みに。寝そべっていただいた方によると、このマット気持ちいい柔らかさだそうです!Mも欲しいっ

)
《エアーマット》
【通常】
おぉ・・・・・綺麗な人型!!
頭から足までがとても綺麗に出てますね!(頭に圧がかかっているのは枕を使用していないからですよ

)このマットの素晴らしい所は、
もし圧がかかってしまっても、付属のリモコンを操作することによりその人に一番適した硬さに自動的に変えてくれるのです!マットが自動的に!!・・・・なんと素晴らしき有能エアーマット・・・・・!!これにより、高い確率で褥瘡が回避できるらしいです!しかし!!
エアーを調整するポンプの体重設定を間違えてしまうと重大事故に繋がるので要注意です!!褥瘡の原因として圧の他にもう一つあるのが体がずれることによって引き起こされるものです。ベッド操作により背上げをした際に、マットはベッドと共に上に引き上げられますが背中やお尻は重力により下に下がっていきます。このときマットと背中・お尻の間に摩擦にも似た力が生じるのですが、これが『ズレ力』というもの。この力に対してはマットだけでは対応しきれません。ここで必要なのはベッド操作と背抜きを必ずすること!手順としては
膝上げ→背上げ→背抜きの順で行います。このとき、
絶対に背上げからしては駄目です!!というのも、背上げからしてしまうと足元が固定されていないので、そのままずるずると体が下に下がってしまい、背上げが完了する頃には背中やお尻に強い圧力がかかって呼吸が苦しくなってしまうからです。また、ベッドによっては自動的に下がってくれるのですが、背上げをした後は膝を下げてあげましょう。そうしないとお腹が圧迫されたままで苦しいですからね

そして大切なのが背抜き!これをしないとズレ力が背中とお尻に加わったままで、患者様はとても苦しいようです。実際に職員で実践してみたのですが、ベッドを30度程背上げしたところで息苦しいとの訴えでしたが、背抜きをすることによりそれが改善されたそうです。
その他にも体交まくらの置き方なども実践つきで詳しくお話を伺うことが出来ました!看護師さんも看護助手さんも、患者様によって違う体交方法に悩んでいたみたいで『こういう患者さまの場合は・・・・』と、実際にあった症例を出して何度も質問をしていました。
寝たきりの患者様の多い5A病棟にとってはとてもためになる勉強会でした!これからの看護ケアに役立て、少しでも患者様に苦痛なく過ごして頂けるように努めたいと思います